学校の英語と、生きた英語の違いについて考えてみる
はじめに:
上記はドナルド・ノーマン博士(ユニバーサルデザインの提唱者)の著書からの 引用で、プロダクト・デザイン 作り手 の意図と、使う人の 願望が 合致していないと記されています。
これは デザインの 世界だけにとどまらず、英語教育を含むあらゆるセクターで見受けられる 一つの課題であると思います。
キーワードは 提供者の Being Logical と 使用者の Human Behavior の間のギャップが浮上しているように 思えます。
学校の英語を ざっくりと定義する
英語、特に中学校の英語は 義務教育の教科ですから、 公共財として コンテンツの統一性が必要であり、
一般教養としての基準も満たさなければなりません。
統語論(言語の構造を成り立たせている諸原理を解く)を 中心に置く学校英語のアプローチは古典・古文・漢文 を学ぶ手順と似ています。
特に学校の英語教育は 形態論(Morphology) に焦点を当てているので、教科書の記述に
別解釈の余地のない 統一感があると思います。
文法・形態論を主軸に 展開する 中学校(高校)の英語は、英語のしくみを知る
教養の一部として 完結しているように 思えます。
生きた英語とは何か? を考えてみる
その一方 私たちが アメリカ や 英国を訪れた時に使用する英語は、
コンテキストベースです。 もちろん統語論の知識も必要ですが、
語用論、意味論 を基本に 英語を発話し、会話の流れを作り、相手に正確な情報を与えたりします。
ですので 実際の英会話の現場では 伝える情報に漏れなく、相手に理解されやすいコンテキストを
発想し、修辞法(相手や状況に合わせて 言葉を効果的に使う)により、言葉が持つ意味以上の
印象(共感、洗練、熱意)などを 相手に伝えるもの – Rational な表現技量を磨くことではないかと思います。
Logical Vs. Rational
学問の世界の英語は Logicalです。
しかし、海外でコミュニケーションの媒体として用いられる 英語は Rational です。
Logical な英語と Rational な英語の 差。
その差の部分が 日本人にとって 英語学習のブレークスルー・ゾーンであると思います。
その差を超える – その為には Grammatically Correct を 100点満点とせず、Human Behavior への 順応性と、レトリックの技量を上げる チャレンジが必要。
これが MPE の考える 生きた英語 であると思います。
売買契約書は Logic を追求し、誤りや 矛盾を排除します。
しかし、家族のコミュニケーションでは、常に全員が Rationality を保つことで 絆が深まります。
Human-centered communication を念頭に、英語を体系化することは 本当に難しい。
ただ 冒頭で引用した ノーマン博士 Too Logical と Human Behavior の意味を考え、MPE の考える Rationality と Human-centered Communication の定義を明確にするだけでも私たちは 一歩前に踏み出せるのではないか?
そう考えている所です。
追記:
ロジックを用い 答えを探す 学校の英語は 収束的思考。
その場に合わせて 最適な答えを探す 英会話は 拡散的思考。
学校の 英語と、コミュニケーションの英会話では 脳の使い方が 違うように思えます。
2つの思考法の違いに 関しては 改めて考えてみたいと思います。