オープンエンドで 能動的な 産出的語彙学習 について考える
はじめに – 意図的学習(クローズエンド)について
英単語を計画的に 暗記する作業を * 意図的語彙学習といいます。
* 意図的学習( Intentional-learning ) : 意図して知識・スキルを身につける学習です。 例) 試験対策用 英単語集 を購入し、1日5単語ずつ覚えるなどの学習方法。 これに対し 生活の中で 偶然に習得する語彙を 偶発的学習 (Incidental-learning) といいます。
意図的語彙学習は 、受験、学校の英語試験や TOEIC などの資格試験のように 限定的な 出題範囲の中で スコアを競う状況において、効率的です。
テストのための 意図的語彙学習 は 範囲が限定されていますので クローズエンドの学習法といえるでしょう。
それに対し 日常の出来事や 気になるニュースを ディスカッションする 日常英会話では オープンエンドの 語彙学習法が求められます。
オープンエンドの語彙学習法 – ただ 無秩序に 単語を暗記することは 非合理ですので、ここでは 日常英会話に 有効な セミオープンエンドの語彙学習法 について 考えたいと思います。
産出的語彙学習 を 英会話 個人レッスンに 取り入れる
前出の 試験対策用 英単語集 を購入し、1日5単語ずつ覚えるなどの学習方法 = 意図的語彙学習は 多くの場合、英単語を見て ⇒ 日本語の意味 を覚える = * 対連合学習 になります。
* 対連合学習: 2個の項目 (単語や無意味綴 ) を1対にして次々と提示し,それらの連合を形成させる学習。先行項目が刺激となり,それに対して他方を反応として答えさせる手続で,適中法ともいわれる。 (引用: コトバンク)
英語(第二言語)から 日本語(第一言語)の意味を学習することを 受容的語彙学習といいます。 意図的語彙学習は 受容的語彙学習に 落ち着きやすいのが 特徴です。
それに対し、日本語(第一言語)で 発想しし、英語(第二言語)に置き換えていく 学習法を 産出的語彙学習といいます。
そして キーポイントは:
1 受容的語彙学習 よりも 産出的語彙学習 で習得した単語の方が より記憶に残りやすいと 言われています。
2 出題範囲の決まった 英語試験では 受容的語彙学習 が効率的であるが、日常英会話の語彙学習では 意図的な 産出的語彙学習 が必要である。
3 外国人英会話講師は 産出的語彙学習を実施できない。 (日本語の特性を知らないので、実施が難しい)
の3点です。
英会話講師の皆様は 上記1~3について 自分の意見をまとめ、具体的にどうしたら 効率的な語彙学習が 英会話 個人レッスンに組み込めるか 考えてみてください。 ヒントは 以前の 研修で取り上げた データベース的思考 を活用することで、良い案が浮かぶのではないでしょうか?
産出的語彙学習デザインのアウトライン:
(詳しくは 研修の際 説明します)
A 初心者の方に有効な 和文英訳型の質問を取り入れる
B 日本語発想の方が 使いやすい インパクトワード を考える: (例: 対連合で “当てずっぽう” 。 連合学習で “恥ずかしい” と “気まずい”)
C コンテクストを意識した ワーディング: 例) Wilted – Repot – Revived – Low-Maintenance の流れ (4ワードで アウトプット全体の 流れを作る)
さいごに
日本では 英検、TOEIC などの 対策用 英単語集は 多く販売されていますが、日常英会話向けで 高品質な 英単語集は ほとんど出版されていません。
個人レッスンで 英単語を用いるとき、その単語を 使用頻度、関連語、コノテーション(ニュアンス) の3点から 見て 個人レッスンを進行させる。 このアプローチは 生徒さまにとって 産出的語彙学習に なりますし、立体的な英語語彙集 を頭の中で 構築することは 講師の資産 にもなるはずです。